不動産あれこれ

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「正直不動産」第77直レビュー 月下VS花澤再戦

「正直不動産」、今回は未公開物件のお話しです。

経験上、思いのほか取り扱うことも多く、だからか宅建試験でも頻出の論点です。

あらすじ(ネタばれあります 核心はビックコミックで)

登場人物

永瀬財地 登坂不動産の副課長
かつては成約のためには嘘も厭わないエース営業だったが、
ひょんなことから上手く嘘がつけなくなってしまった。

月下咲良 登坂不動産の新入社員
カスタマーファーストの営業を身上に奮闘中。
草壁から情報非公開でのマンション売却を依頼される。

花澤涼子 ミネルヴァ不動産の新入社員
草壁のマンションに突然現れる。情報非公開の物件を知るわけは・・・。


あらすじ

月下は草壁のマンション売却を担当します。
売却の条件は、情報を非公開とすること。いわゆる未公開物件ってやつです。

ところが、未公開物件だからか、担当して3ヶ月、売却は進みません。

「もう少し値段を下げるしかないんでしょうか?」と弱気の草壁。
「売り値は妥当」「私の力不足」と詫びる月下。

そんなやりとりを草壁のマンションでしていると、なぜか花澤が現れて・・・。

 

未公開物件ってなんだ


「未公開物件」をWEBで検索すると、おおよそ以下のように説明されます。

 「売主が広告を許可していない、もしくは広告が禁止されている物件」
 「業者のHP等で公開されていない、一般には知られていない物件」

若干異なりますが、広告されない物件という意味では同じです。
前者の「広告が禁止されている」は、例えば建築確認取得前の建物等の広告を禁じる宅建業法第33条のことでしょう。

さらに進んで「未公開物件」には「完全未公開物件」と分類される物件もあります。
以下の場合でREINSに登録すらされていない状態の物件のことです。
① 一般媒介契約での依頼のため、あえてREINSに登録しない
② 専任媒介契約での依頼のため、登録期限(7日)まで登録されない
③ 専属専任媒介契約での依頼のため、登録期限(5日)まで登録されない

草壁の依頼したマンションは、①での完全未公開物件のようです。

月下が花澤にこのマンションを知っている理由しきりに尋ねています。
REINSに登録されていれば、同業者の花澤が知っていても不思議ではないので、月下としては「完全未公開物件なのに、どうして知っているのか。」ということなんでしょう。

 

未公開物件あれこれ


私も未公開物件の売却に関わることがあります。

いずれも、売主が「経済的に厳しくなったことをご近所にばれたくないので、広告しないで欲しい」と要望している物件でした。
広告ができないなかで、しっかりと買主を探せるかどうかは、担当者の腕にかかっています。

一見イレギュラーに思える未公開物件ですが、私の経験に照らすと、結構な割合で流通している印象です。だからでしょうか、宅建でも未公開物件に関連する知識が問われることもしばしばです。

 

本試験2011年

① A社は、Bとの間で締結した媒介契約が専任媒介契約であるか否かにかかわらず、所定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。
② A社は、Bとの間で専任媒介契約を締結したときは、Bから申し出があれば、所定の事項を指定流通機構に登録しない旨の特約を定めることができる。

 

①は✕。
一般媒介契約の場合は、指定流通機構への登録義務はないからです。
指定流通機構への登録が義務づけられているのは、(専属)専任媒介契約の場合のみです(宅建業法第34条の2第5項)。

②も✕。
指定流通機構に登録しない旨の特約は無効だからです(宅建業法第34条の2第10項)。

選択肢③④は割愛しますが、正誤個数問題にもかかわらず、受験者正解率は87%と高率ですから、落としてはいけない基礎的な問題です。

 

まとめ


次回は花澤と月下の人間ドラマがみられそうです。

不動産業界での活躍を模索する2人ですが、カスタマーファーストな正直営業の月下、手段を選ばない花澤と、考え方は真逆です。

これに加え、同業者へのスパイ活動のため永瀬と夫婦を装った月下に対し、真に離婚経験のある花澤と、対照軸もさらに深まりました。

草壁のマンションを巡りどんなやりとりになるのか、次回のビックコミックは8月25日ころ発売です。