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「特別家賃支援給付金」制度に注目

令和2年5月8日、昨今のコロナの影響で賃料の支払いが困難になった事業者への支援として、与党賃料支援PTより、「テナントの事業継続のための家賃補助スキームについて」が示されました。

 

「テナントの事業継続のための家賃補助スキームについて」
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/200139_1.pdf

 

そのなかでも、「特別家賃支援給付金」制度の創設が目を引きます。

 

テナント側はもちろん、オーナー側にも朗報!といえそうですが、誰が、どんな条件で、どれくらいの金額の補助を受けられるのか、現在分かる範囲で具体的にみてみましょう。

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 引用元:太田房江参議院議員の5月11日付ツイッター
https://twitter.com/fusaeoota?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

 

 「特別家賃支援給付金」のポイント

〇融資と組み合わせた支援
〇持続化給付金と併用できる
〇無利子・無担保融資の元本返済にも活用できる
〇給付条件は「売上げが大幅に落ち込んでいる」こと等
〇テナントの業種に制限はない模様
〇給付額には一定の制限
〇申請受付は6月後半開始が見込まれる

 

「特別家賃支援給付金」って何だ?

テナントの家賃負担を軽減するための給付金です。
趣旨はもちろん、昨今のコロナで家賃の支払いが困難になった事業者を支援する点にあります。

融資と組み合わせた支援

家賃補助は、①政策融資(公庫融資・制度融資)とこの②「特別家賃支援給付金」をあわせて実施されます。
「テナントの事業継続のための家賃補助スキームについて」では「ハイブリッド」と表現されています。
前①は、上記図でいえば「金融機関」からの「更なる融資」、前②は「特別家賃支援給付金」が該当します。
そのほか、上記図の「自治体」からの「家賃補助」とあるとおり、自治体による家賃補助も想定されます。
その意味で、この「特別家賃支援給付金」は家賃補助の一施策として位置づけられます。テナントの方は、これらを上手に利用していくことになります。

持続化給付金との併用も可能

現在、中小法人等には200万円、個人事業者等には100万円までの持続化給付金の申請受付がなされていますが、同給付金を受給しつつ、「特別家賃支援給付金」を受給することもできます。
「テナントの事業継続のための家賃補助スキームについて」では、「『持続化給付金』に加え、・・・『特別家賃支援給付金』を給付」と表現されています。

融資の元本返済にも活用できる

「特別家賃支援給付金」の使途は、家賃に限定されません。このコロナを契機とした無利子・無担保融資の元本返済にも充てられます。
「テナントの事業継続のための家賃補助スキームについて」では、「無利子・無担保融資の元本返済にも活用できる『特別家賃支援給付金』を給付」と表現されています。
これにより、間接的な家賃補助が得られます。

 

給付の条件は?

中堅・中小企業者・小規模事業者・個人事業主

持続化給付金の支給対象と重なりそうです。
すなわち、持続化給金給付規程(中小法人等向け)、同(個人事業者等向け)には給付対象者が定められていますが、これと異なる取り扱いはアナウンスされていません。


これに対し、業種については、持続化給付金と異なり、制限されることはなさそうです。
すなわち、持続化給付金においては、「性風俗関連特殊営業」又は当該営業にかかる「接客業務受託営業」を行う事業者には給付金を給付しないとされています。しかし、特別家賃支援給付金においては、そのような制限はアナウンスされていません。
 

「売上げが大幅に落ち込んでいる」こと

「売上が大幅に落ち込」んでいるの判断は、以下のとおり検討されています。

  〇単月50%減(持続化給付金と同様)
 または 

  〇3ヶ月で30%減

「特別家賃支援給付金」については、「持続化給付金」よりも、給付の対象を拡大したとえいます。単月50%減の月がなくても、3ヶ月で30%減であれば、支援を受ける余地が出てくるからです。

 

給付額は?

給付額は、以下のとおり想定されてます。


 〇中堅・中小企業  
  給付率 2/3
 
  ただし、給付上限 50万円/月

 〇個人事業主    
  給付率 2/3 
  ただし、給付上限 25万円/月


なお、期間は、年内の半年分の家賃です。
非常事態宣言が解除されても、従前の客足が戻るには時間を要するでしょうから、果たして半年分で足りるかは、今後の検討課題となるでしょう。

 

時期は?

第2次補正予算案の成立する6月下旬以降となりそうです。
政府・与党は、この「特別家賃支援給付金」制度を含む、コロナ拡大を受けた新たな経済対策を盛り込む2020年度第2次補正予算案を5月内をめどに編成して、今国会に提出、6月17日までの会期内成立を目指しています。
申請受付はそれ以降となるためです。

 

まとめ

以上、「特別家賃支援給付金」について概要をお伝えしました。
本日お伝えした内容は、5月12日時点の情報に基づきます。
今後、様々な修正がなされるでしょうが、テナント、オーナー、いずれにもハッピーな制度になりますように。そうでなくちゃ、経済活動もままなりません。